2007年9月17日月曜日

vol.48 広告とウェブの親和性

わが国におけるウェブの商業利用が本格的に始まったのは2000年である。

それから7年。(最近は言わなくなったが、7年は1ドッグイヤーであるので、犬にしてみると1年が経過したという逆説にもなる)醜くいほどにウェブは変わった。

ほんの7年前がどんな状況だったのかは、「ITトレンド2000」という旧ブログをお読みいただければ分かるだろう。

そこには、「こうなったらいいな」という期待感がひしひしと伝わってくるような記事があふれている・・・。

ところが、その翌年の2001年にはすでに「ITバブル}ははじけるのである。つまり、商業利用が「破綻した」という印象を投資家に抱かせることがあったのである。

それは一体何だったのだろうか?

ウェブサイトに初めて広告が掲載されたのは、YAHOO!のバナー広告だったと思う。1998年ごろだったか?当時は、ポータルサイト至上主義=つまりは、PV至上主義の時代で、PVに対してバナーの価格が決定していた。(YAHOO!のトップページバナーで200万だった記憶がある)

この課金方法は、発行部数によって広告掲載料が決定されてきた新聞、雑誌の課金方法を踏襲したものである。つまり、発行部数が1日100万部ならば、全15段(全ページ)の広告掲載料は100万円であるとする単純にして明快な方法である。

この方法を採用して広告費で稼ぐために、すべてのサイト運営者が、ポータルサイトたらんとあらゆる努力をしていたのである。

だがこれが、検索サイトに広告を掲載する「検索連動型広告」の登場によって様変わりすることになる。2003年のことである。(ちなみに、Overtureはわが国における検索連動型広告の特許を2000年に出願し、2005年に取得している)

それから4年・・・。その様変わりに気づかないのが当のサイト運営者である。

バナーのCTRが圧倒的に低下し、ポータルサイトの広告効果の凋落は目を覆うばかりである。(これを補うために、バナースペースを拡大したビッグバナーなどでお茶を濁しているが、次はジャイアントバナー、ヒュージバナーとエスカレートしてコンテンツが消滅するのかも)

なぜか?(このなぜかと、先の一体何だったんだろう?の理由は同じであり、レガシーな媒体である新聞、雑誌の購読数の凋落と同じ理由である)

ウェブが、学術ネットワークを出自としていることに端を発するのかもしれないが、広告とウェブは親和性に乏しい。(突然ですが)

ここにそもそも無理がある。

だが、広告と分からない広告、情報としての広告、物売りでない広告、メッセージとしての広告、のようなものとは親和性がいい。

何のことはない、こんなことは昔から言われていたことで、ウェブも含めてすべての媒体は「質の高い広告」とは親和性がいいのである。

ただし、媒体側が、「質の高いコンテンツ」であることが前提であることは言うまでもない。

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2007年9月2日日曜日

vol.47 これからのウェブ広告

特許関連の内容を、別ブログ「LinkAd Info 2007」に移したので、こちらは、以前のように、ITトレンドの話題を中心に進めていく。

また、「リンクアド」の内容は、こちらでも継続して扱うことにする。「LinkAd Info 2007」の内容と一部重複するものもあるかと思うが、こちらはあくまでトレンドとしてみたときのPOVを書いていく。

で、まー、せっかくだから(?)「リンクアド」の話題から。(笑)

ブログを運営するSeesaaという会社が、ブログの中のキーワードにリンクを張って広告を表示する手法をアフィリエートとして実施している。表示手法としては、「リンクアド」と同じに見える。(だが、抜本的に違うのは、キーワードに価格設定がされていない点である)

日本におけるいわゆる「コンテキスト広告」は、このSeesaaが実施しているものだけである。評価はどうやら「うざったい」というもののようである。(笑)

リンクというものは、インターネットが始まって以来、「情報のありかを示すもの」であったわけで、リンクワードとシンクロした情報であることが予め決まっている。

したがって、詳細情報だと思ってクリックしたら広告だったというのでは、「うざったい」どころか腹が立つのも当然である。

ここが「ツボ」である。

クリック前に期待した「詳細情報」にリンクしていないことに対する腹立ちの中身である。人間の常として、期待値を上回る情報があれば、それはそれで満足するものなのである。

つまり、期待値を裏切る内容であっても、期待値以上の情報があればいいのである。つまり、「しょぼい」広告にリンクしているから「うざったい」のであって、「うまい広告」にリンクして」いれば、「おいしい」のである。

この「ツボ」をどう押さえるかが成否を分けるだろう。

少なくとも、バナー広告のフラッシュにはうんざりしているのも、検索連動型広告の「非連動性」にあきれ果てているのも事実なのだから。

バナー広告のなかったころのウェブサイトは、「言いたいこと」や「表現したいこと」や「伝えたいこと」のあるコンテンツ・オリエンティッドなサイトだったし、間違いなく洗練されていて「きれい」だったのだ。

アメリカ型の広告看板べたべたの広告手法が当たり前と思ってはいけない。ヨーロッパの街に広告看板がないように、ヨーロッパのウェブサイトにもない。

京都がCocaColaのネオンサインを赤字に白のスタンダードなものから「白地に赤」の「京都バージョン」に変えさせたように、ウェブサイトのコンテンツによって広告手法も変えなければいけない。それが、文化なのだから。

リンクアド」は、「ウェブ広告文化」を変えるための一助になればいいと思っているのだが・・・。

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2007年8月19日日曜日

vol.46 インターネット特許出願顛末記 その11

リンクアド」の「早期審査請求書」をインターネット出願ソフトを使用して特許庁に送信した。

これは、先の「審査請求書」とは違い、理由を説明しなければならない。ところが、その理由が個人の場合ふるっていて、「出願人が個人だから」という理由でOKというところが可笑しい。

役所も時には面白いことをする。しかし、特許というのは最早一時の猶予も許されないほど国際化の最先端を行く業務であり、権利化の可否によっては、国策に匹敵するほどの価値を持つものであり、企業という器に縛られない個人こそが自由で先見性のある着眼点で発想することが出来るわけだから、企業のご都合主義的利益追求主義に優先されてしかるべきだろう。

そう考えると、特許庁というのは経済産業省の中で唯一世界レベルで活動している官庁ということになるのかもしれない。すでに貿易立国の時代は終わり、終わったことの証左として、通産省から経済産業省へ名称変更したのだろうから。

さて、早期審査請求では、「先行技術の調査」が必要になる。それを調べてくれるのが審査料の内訳じゃないのかい?と言いたくなるが、昨今はデータベースという便利なものが用意されている。

独立行政法人である工業所有権情報・研修館が運営するIPDL(特許電子図書館)というのが特許庁のHPからリンクしていて、先に特許出願された文献を検索することが出来るようになっている。

リンクアド」関連のものを探すわけだから、「キーワード」、「テキスト」、「リンク」、「広告」などで検索。そうすると、出てくるわ出てくるわ、マイクロソフト、ソニー、NEC、NTT、そして当然、OVERTURE、Google・・・・・。

広告の表示方法に関して、また、現在のウェブページにおける広告の氾濫を排除し、読者にとって興味のある広告を表示するという達成目標に関して、わが「リンクアド」と全く同一といってもいいものもこの中にあって一瞬ドキッとした。

が、不思議なことに「ウェブ出版物の記事中の単語をキーワードとして販売する」というものは見出せなかった。

しかし、これもあくまでも特許出願後、1年半を経過して「公開」されたものが検索出来るだけである。したがって、出願後1年半未満のものは全く分からないのである。

よって、「早期審査請求」とは、この1年半未満のものの中に、わが「リンクアド」のように後から審査請求した内容に抵触するものがあるのかどうかを審査してもらう制度ということになる。

とまれ、今日から2ヶ月半後の11月初旬には審査に着手され、それがつまびらかになることになるわけである。

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2007年8月8日水曜日

vol.45 インターネット特許出願顛末記 その10

リンクアド」の「出願審査請求書」をインターネット出願ソフトを使用して特許庁に送信した。

特許は、おおまかには、出願-審査-認可という流れをたどり、出願しただけでは取得することが出来ないようになっている。

したがって、やっとこの顛末記も中盤に差し掛かったということになる。それにしても、この「出願審査請求書」なるもの、あきれるほどあっさりした内容である。

まー、考えてみれば、172600円なりの審査料をネットバンキングで納入してあるわけだから取り立てて何かを言うことはないとは思うが。

さて、これに引き続いて、商標登録と並んで「早期審査請求」を行う。これは、最近出来た制度で、個人・中小企業の出願審査を優先的に行う制度である。

「審査請求書」の収受後、「2ヵ月半後には審査に着手する」制度で、なんと「無料」である。現在、早期審査請求の列には、6千数百件が順番待ちだそうである。

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2007年8月4日土曜日

vol.44 リンクアドのプロトタイプ

リンクアド」を口で説明するのはなかなか難しい。頭で分かっていてもこういうことは「百聞は一見に如かず」である。

そこで、まだ実験中のプロトタイプではあるのだが、このブログ読者にだけ「公開」してみることにする。
リンクアド」は、ウェブコンテンツ中の「単語」を「キーワード」として「リンク」を張り、そのキーワードに関連した「広告」をマウスオーバーで表示させる。

この「広告」は、読者にとってアテンションとなり、クリックを誘発し、誘導先ページが表示されるという仕組みである。

たとえば、「ソウダヒロシ」というのをキーワードに設定したとする。これにリンクを張って「広告」を表示させるわけだが、広告であることを予め読者に伝えるために「ソウダヒロシ」に通常のブルーのリンクを張るのではなく、ブルー以外の色で設定することができるようにした。

サンプルでは、ペパーミントグリーンでリンクを張ってみた。いかがだろうか?

リンクアドの意味:キーワードリンク広告:Keyword-Linked Advertising

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2007年7月29日日曜日

vol.43 VWC参加報告

先日、VWC(ヴァーチャル・ワールド・カンファレンス)に主催者の深野さんに招待されて行って来た。以下、その感想。

先にもSECOND LIFEのことは書いたとおり、このテーマの方向性は2つしかない。伸びるか、しぼむか。

技術的進歩によって可能になることと、実現したい夢のために技術を開発することとは180度違うわけで、日本人はセカンドライフを必要としないがゆえに日本には誕生しなかったのだと考えればわかり易い。

ヨーロッパでは、リゾート=RESORT(何度も出かける、という意味)というライフスタイルがあるわけで、休暇の間同じ土地の別荘で長期にわたって暮らすのは当たり前のこと。これが、セカンドライフの根底にあることから説き起こさなければ、セカンドライフの存在理由は見えてこない。

SECOND LIFEの中でのアバターの視線動態(自分の)をデータ化した、NTTデータの三上さんのプレゼン。これが面白かった。コミュニティの中で、人は人を探す。

商品でもなく、建物でもなく、人が求めるものは、人=CHARACTORなのだということが実証されていて実に興味深いし、これが答えなのである。

10年前にMUというヴァーチャル国家をIPAの補助金で3000万かけて制作するプロジェクトに参加したが、決定的に欠けていたのは、仏作って魂入れず=国家作って国民不在ということだったのだと思う。実は、予算を器作りで使い果たしたのだが。

器に金を掛けるのではなく、CHARACTOR作りに金と時間を掛けることが成功の秘訣だと思う。 かつて、niftyがやったこと、今mixiがやってること、すべて人と人を結びつける「場」を提供したのであって、コミュニティはSIG(Special Interest Group)オペが作って共感する人が集まっているのである。

コンテンツが2Dから3Dになると、必ず立体=建物、人体を真っ先に3D化する。だが、コミュニティは3Dでなく、4D、5Dで考えないと、単にリアルをヴァーチャルに持ち込むことにしかならない。

わたしがRESORTするスコットランドの川のオーナー(英国では川は最大の不動産。1年間に釣り上げられる鮭1匹200万で換算して川の価格が決まる)は、オフシーズンには自分のデザインに基づいて自然に見えるように川をこつこつとREMAKEする。

これをヴァーチャルで行うのがSECOND LIFEなのだと思う。実際に川を買うと3億円、川をREMAKEするのに1000万単位の金が掛かるところが何万でできるだろうから。

でも、わたしは、SECOND LIFEよりも2年後から始める予定のREAL SECOND LIFEをエンジョイしたいと思っているが。(笑)

→実は、日本人が休暇のたびにRESORTする場所は、田舎の実家である。よって、SECOND LIFEの中で、絶対に当たると思うのは、「実家」を作ること。思い出の故郷、昔は「遠くにありて想うもの」であったが、今は、「ネットにありて通うもの」。

お盆には、ヴァーチャル墓参り。年末は、ヴァーチャル除夜の鐘、年始には、ヴァーチャル初詣。友人とも出会える、ヴァーチャル同窓会。これでしょ、日本人って。

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2007年7月22日日曜日

vol.42 思い出のthe GATE 1



写真は、わたしもライターとして参加して1996年に制作されたthe GATE 1というCD&雑誌である。

1996年というと、YAHOO! JAPANが誕生した年であり、まだプロバイダを通してインターネット接続をすることがポピュラーな時代ではなかったし、見るに値するコンテンツ自体が存在していなかった。

そこで、CDという媒体にコンテンツを詰め込み、インターネットへの接続の窓口にしようとしたのである。

コンテンツの内容は、仮想国家MUに国民として登録し、「バーチャル国家の国民として暮らそう」というものであった。

わたしも、ECO CITYのMAJAという地域にある地下1階、地上2階の建物に11年前から住んでいる「先住民」である。
ここでのわたしは、サーモンフィッシャーであり、殆ど毎日川に通っている。川から上がってきてはマリーが経営する1階のパブで飲み、気分によっては地下1階のワインセラーからワインを持ってきて、2階の書斎で作家活動の合間に飲む・・・・。
近くには友人も住んでおり、1階のパブで会ったり、友人宅まで出かけていったりもする。もちろん、経済活動も想定しており、通貨も制定されていた・・・・。

もうお気づきだろう、これにアバターを組み合わせると、SECOND LIFEそのものである。
わたしは、実は、このthe GATE 1というものの存在を忘れていたのだが、友人である、VRを専門とする深野先生に六本木ヒルズでSECOND LIFEの関連イベントをやるので来いと言われてこの本の存在を思い出したのである。

で、再度2枚組みのCDを見てみたり、本を読んでみたりしたのだが、技術レベルは稚拙だがコンセプト自体はかなり進んでいた、というか、SECOND LIFEと何も変わらないほど似ている。

このコンセプトが今に至らなかった大きな理由は、1996年という年が、たった1年前であるにもかかわらず、翌年の1997年からインターネットが一気にコンテンツの主流になることが予測できなかった年であったからである。

それにしても、11年前からのECO CITYでのわたしの暮らし、実は2年後からの「REAL SECOND LIFE」で実行に移そうとしていることと全く同じであることに気づいて驚いているところなのである。

仮想世界に描く夢は、本人の理想の姿であるわけだから、当たり前のことなのだが・・・。そう、仮想世界とは、「夢の先取り」なのである。


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