2009年4月4日土曜日

vol.92 BTとレコメンド

BTが大流行のようである。

BT=Behavioral Targeting、日本語では行動ターゲティングと訳されている。英語の正確な意味で言うと、behaviorは日本語で「振る舞い」だから、振る舞いから見た、と言った方が正確かも。

要は、ウェブ上でのユーザーの振る舞い=ウェブ閲覧履歴に基づいて狙い定めた(多分こういうユーザーなのだろうという想定の基に)広告を配信する手法のことである。

ついでに、リターゲティングについては、ウェブページに1度来訪したことのある顧客に対して、1度目の来訪で取得した情報をもとに、狙い定めた(多分こういうユーザーなのだろうという想定の基に)広告を配信する手法のことである。

さらについでに、レコメンドは、ウェブページで取得した情報を基に、商品提案を行うもので、商品を広告に置き換えると、レコメンド広告ということになる。

BTは、かつて消費者を統計学で使用する指標であったデモグラフィックデータ偏重のマーケティングと似て、余りにも幼稚である。

1人の消費者(実はIP)の属性を年齢、性別、所得だけで特定できないのと同様、ウェブ閲覧履歴がその消費者のすべてではないことは当然のこと。

デモグラフィックなデータがあってはじめてウェブ履歴にバイアスがかけられるのである。

このことに気づいているのか、YAHOO!は、YAHOO! ID情報をベースにしたBTを提案しているようだが、明らかに個人情報の濫用に該当する。YAHOO! ユーザーは、広告配信のために情報提供したわけではないからである。(ユーザーの意図などお構いなしにルールは勝手に変更されるので、もう変更されたかも)

リターゲティングも同様に、1度来訪した消費者と2度目の来訪者を差別化するほどの意味があるものかどうか?

レコメンドは、アマゾンの例が分かりやすい。「この本を買った人は、こんな本を買っています」。これがやはり本命である。

買ったという行動こそが意味のあるものである。これを食った人はこんなものを食っています。これを着ている人はこんなものを着ています。この車に乗っている人はこんな車を持っています・・・。

1度孫のための靴を買ったからといってベビーシューズの広告ががんがん来たり、2度と買うものかと思っている冷凍蟹の広告ががんがんきてもうざったいだけのことである。

それよりも昔あった、クレジット会社と提携して、19歳の娘を持つ父親に対して成人式の着物を案内したという京都の着物メーカーの手法の方がマーケティング的にも戦略的にもはるかに知的で進んだターゲティング広告である。

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