2008年11月30日日曜日

vol.81見たい広告と見たくない広告

先日、フランスの雑誌「パリマッチ」の取材の現地コーディネートをした。

広告の仕事はもう35年ほどしているが、現地コーディネートは初めてのことである。フランス人3人と英語で話しながら3泊4日で撮影と取材をヘルプした。

まず、朝食で餌付けすることにし、パン・ド・セーグル、コンフィ・ド・カナール・シャランデ、フリット、ケイク・ド・フロマージュでtrop bon!(トローボン!(これ、超ボン、という意味の流行語。世界中同じ現象が起こっているようで・・)と言わせることに成功した。「今日のメニュー」の修練の賜物である。(笑)

不思議なことに、広告の仕事を長年していると相手が何人であろうとニーズが分かってしまうから不思議で、「次はこうしたいんじゃないの?」と先回りすると、「なんで分かった?」と驚くのが面白い。

しかし、それは当たり前のことで、このシチュエイションでこれを撮らずに何を撮るの、これを訊かずに何を訊くの、ということが常識としてあるからである。

さて、翻って、現在のウェブ広告はどうだろう。

これを表示せずに何を表示するの、ここに誘導せずにどこに誘導するの、といえる広告になっているかどうか?

すでに15年も経とうかというのに、未だにお寒い限りで、「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる」を繰り返しているのが現状である。

1to1マーケティングという言葉もweb2.0という掛け声もとっくに死語となり果てている。

とりわけ酷いのが、新聞系ウェブサイトである。紙媒体のビジネスモデルをウェブにそのまま持ち込み、ウェブ石器人のような広告掲載枠を死守しようとしている。

これに追随しているのがニュース系雑誌サイト。いずれも、ニュースよりも大きな紙面を使用して、ウェブの特質をまったく理解していない。

これが広告依存型ビジネスモデルのなれの果てである。

おまけに、その記事たるや、オピニオンのひとかけらもない。これならば、サイトだけを提供し、世界中のオピニオンリーダーに記事を有料で書かせた方がよっぽどましである。

そうすれば、SNSの「便所の落書き」を、せめて「壁新聞」程度に押し上げてくれることだろう。

広告掲載枠を持たない新聞・雑誌メディアの登場が待たれる。

しかし、広告は、企業に取っても媒体社に取っても麻薬のようなもので、消滅することはないだろう。

つまり、web3.0の広告依存型ビジネスモデルがこれから登場してくることは疑う余地のないことである。

それは、顕在化した広告ではなく、潜在化した広告になるのではないだろうか。また、必要に応じて、個人個人のニーズに応じて顕在化する広告になるのではないだろうか?

つまり、「個人ニーズに合わせ、見たい広告だけが表示され、見たくない広告は表示されない」広告である。

そんなことを考えて、10年後の広告を予測しリンクアド」という広告を想定した。いかがだろう?

ソウダヒロシ プロフィール CONTACT

※懐かしのIT幕開け時代のブログ→ITトレンド2000

※食い物系のブログは→今日のメニュー2010

※環境系のブログは→環境トレンド2010

※進行中のプロジェクトのブログは→リンクアド・プロジェクト公式ブログ